異電圧・異規格が存在する鉄路 箱根登山鉄道


 2月6日(月)、寒さ極まる朝の2番列車に乗り箱根登山鉄道へ向った。小田原〜箱根湯本間は小田急の車両が乗り入れるため珍しい3線軌道が敷かれているが、次期ダイヤ改正からこの区間の全列車を小田急車両のみで運行することになるらしいとの噂を聞きつけ出掛けてきた。折しもこの日、噂が現実であることが小田急のサイトで発表された。3月のダイヤ改正以降、この区間は箱根湯本から車庫のある入生田への入出庫でしか箱根登山の車両を見ることが出来なくなる。また、保守にも費用が掛かる3線も登山用の線路が撤去される可能性も高いだろう。

 まずはこの区間でも特徴のある駅である風祭駅で下車。ここは箱根湯本側が踏切・小田原側に土地がなくホームが短い。とは言っても箱根登山の車両なら余裕、小田急の車両が入ると一番前の車両からしか乗降出来ないと言う異例な措置をとっている。右画像を見れば判る通り、後部車両はホームからはみ出している。


 現在では朝晩のみ小田原〜箱根湯本間に姿を見せる登山線の電車、その1両の長さは14.7m程度しかない小さな車体で3両編成を組んでもJRや小田急などの車両の2両と1/4ほどの長さにしかならない。そしてこの3線区間の駅ホーム、車体の大きい方に合わせて作られているため、この様に登山線の車両はホームと列車との間が大きく開いてしまう。この間が危険と言うこともあり、異種車両での運行を取りやめる理由にあがっている。


 冒頭述べたように、風祭駅のホームは短く、拡張用地もないため、小田急の列車が来ると2人の駅員が箱根湯本寄りの1両の扉を手動で扱う。他車は締切扱いだが、今後もこの様な体制を続けるのだろうか。朝晩は通勤・通学客が主だが、駅傍には「鈴廣のかまぼこ」もあり利便性を考えると全車ドア扱い出来る体制が望まれるだろう。小田原市内の小学校に通う子供達もすっかり駅員さんと仲良しだ。列車到着まで学校の話などで笑みがこぼれる。


 箱根山からモハ2型のコンビが下ってきた。片運転台改造されたモハ1型に比べ、両運転台のまま残るモハ2型はオリジナルの姿を留めているが、足回りはカルダン駆動化されている。108は往時の塗装に塗られ活躍中。多客期はモハ1型と3両編成を組む。
 風祭駅進入時、この列車に乗る学生が踏切で立ち往生、踏切内に駅舎があるような風祭駅は列車が着く前後は駅に入ることができなくなる。


 この3線軌道区間の特徴的なポイント。右側の線路を共用し、左外側が登山用・左から2番目が小田急用、標準軌と狭軌の車両が走る路線ならではの複雑なポイントと軌道。保守面でも軌道施設面でも通常の鉄道より費用・手間が掛かることから、ダイヤ改正後は外側の登山用線路は剥がされてしまうのではないか?と推測される。


 小田原から戻ってきたモハ2型、湯本方面のホームでは30cm近く車体とホームが離れる。さらにモハ1・2型は車内にステップがあり高さの面でも危ないのだ。箱根湯本〜強羅間のみの運行になると、この区間のホーム嵩上げ・バリアフリー化工事が行なわれていくと言う。


 3月のダイヤ改正からは朝晩でも小田急車同士の交換風景しか見られなくなってしまう。左手の箱根湯本行きは1000系の4連・右側が新宿行きの6連。遥か後方に風祭駅のホームが見える。


 この日の朝の運用で小田原に入る最後の列車が箱根板橋駅に進入する。駅を出たところからすぐに40‰の勾配に入るが、登山線の車両は余裕で走る性能を有する。こちらはモハ1型の103・107コンビ。片運転台化され2両コンビで運転されているが、足回りは旧来の吊り掛け式、強羅へ向う80‰区間は重っ苦しい唸りを上げて走る。

 その折り返し列車で塔ノ沢駅へ向う。駅外れの踏切には同業者が1名、結構噂が広まっていたのか?


 塔ノ沢駅は両端をトンネルに挟まれた山中の小さな交換駅。登山電車の3連運転化に伴い、小田原側の塔ノ沢トンネルが拡幅され以前のような重厚さがなくなってしまったのが残念。その塔ノ沢トンネルに強羅行きの1000型が飛び込む。トンネル内も最大勾配80‰、フラットな駅構内から撮影すると列車が登ってくる様子が良くわかる。


 大平台駅で離合したと思われるモハ2型が塔ノ沢に着く。この駅での乗降は1時間滞在したがまったく見られず、待っている間が物凄く寂しい。箱根湯本へ下っていく列車の辺りまでが拡幅された部分。ここだけが真新しい施設だ。


 その折り返し列車で一駅先の大平台へ向う。1000・2000型に比べても1灯の前照灯は幾分暗く見える。トンネル内部はレンガ積みか?コンクリートにないゴツゴツ感が列車の明りに照らし出される。


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