腰越 小動神社天王祭 電車道を行く


 例年、7月の第一日曜から第二日曜にかけて、江ノ島・八坂神社の天王祭と同時に執り行われる腰越・小動神社の天王祭、その最終日となる本祭には神輿が海に入り、その後に江ノ島・八坂神社の神輿を迎え小動神社まで電車道を並んで進む。狭い電車道を法被・祭半纏に身を包んだ老若男女が神輿を担ぐ。時折やってくる列車を避けつつ進む行列を見る事が出来るのも、ここだけではないだろうか。

 朝10時過ぎ、藤沢から一駅先の石上駅、天王祭に友達と行くと言う女の子が列車を待つ。既に蒸し暑いこの日、浴衣姿ではなおさら暑いだろう。


 江ノ島〜腰越間の併用軌道区間に入ると沿線は俄かに活気立つ。腰越5ヶ町の祭典事務所・山車が並び・法被や祭半纏姿、白装束の姿が目に入ってくる。祭と知らずに訪れた観光客が車窓の光景に目をやる姿がみられる。


腰越の駅で下車、この日は女性の駅員が勤務していた。発車してゆく列車が見えなくなるまで直立し見送る。


 駅を降りてすぐの路地では缶酎ハイ片手に何やら談笑する方々、聞けば茅ヶ崎から来ている睦会の方々、来週(17日)は茅ヶ崎の海に40基ほどの神輿が入ると教えてくれた。この後、小動神社の神輿が海に入るのを見に行くと言う。
 片や電車道では山車の飾りつけをする町内の方々の姿も見られる。14時過ぎに八坂神社の神輿を迎え入れ、夕方に町内をまわる。


 普段は車を掻き分け進む江ノ電、祭礼のため車両進入禁止となった電車道は祭の前の静けさ、人も車も少なく余裕を見せる。その傍らでは露店が立ち並び慌しさが増す昼過ぎからに備え準備を進める。10時半を過ぎて汗ばむ陽気、冷たい生ビールがとても心地よい。


 浜上の海岸に安置された小動神社の神輿が海に入る。短パン姿・フンドシ一枚の若衆に混ざり女性の姿も見られる。「そいやさ〜」の掛け声と共に神輿が担ぎ上げられ海へと進む。


 少し波のあるこの日、波に押されながらも神輿を担ぎ、水面が腰を超えたあたりまで沖へ沖へと進む。不安定な海の中でも真っ直ぐに神輿を整え担ぐ姿は圧巻、数分その場で清め、岸に上がる。浜に上がる頃には見物人から歓声があがっていた。


 浜に上がった神輿は坂上町を回り電車道に出る。龍口寺山門前まで電車道を進み、江ノ島・八坂神社の神輿を迎え入れるために暫くそこで待つ。神輿と共に各町内の山車が電車道を往来、各町内の祭典事務所前に戻り、山車を線路側に向けて、やはり神輿を待ち受ける。列車が来るまでの間、その空間は祭一色に染まる。


 浄財を授かる二人の子供も地元、腰越っ子、初めて体験する祭礼行事に少々緊張気味、その親御さんは町内の半纏を着込みほとんど一緒にいる事はなかった。


 徐々に人通りが増えてくる電車道。担ぎ手のほとんどが海の男・荒くれ者が担ぐ神輿を軌道外に戻すのも至難の業、列車が行き過ぎた電車道は歩行者天国と化す。


 神輿が龍口寺の山門に着くと各町内の山車も一休み。神輿を迎え入れる為に線路向きに向きを変える。その傍らを電車が最徐行で通り抜ける。山車の大きさも軌道限界ギリギリに造られた様に感じられる。


町の電気屋さん、わが町の祭を店の表に出て眺めるお婆さん。自分の若かりし頃の祭を脳裏に思い浮かべているのだろうか...


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