DB牽引列車で行くアプト区間ウォーク

 毎年恒例となった井川線DB1型機械式DL牽引によるチャーター列車。昨年はボンネットバスと鉄道とバスのボンネットコラボレーションが実現。さてさて、今年はどうなるでしょう?と、例年企画する井川線フォトギャラリーのコリドラスさんからのメールを待つ。
 4月中旬、企画がまとまり案内が届いた。何と!今年はDB列車でアプトいちしろ駅までフォトランし、アプト式鉄道区間で定期列車を撮影しようというもの。単純にアプト区間を撮影するのではなく、アプト区間を歩いてその勾配を自身の足で体感しつつというもの。DB自体、井川線のATS設置問題で本線走行が危ういと言う状況下、DBフォトラン以外の企画も加わり刺激的な一日になった。

**なお、鉄道敷地内での撮影は許可を得て行なっており、通常行なえるものではありません**


 2006年5月27日(土)9:25頃、車庫のある川根両国からDB1型DLが到着。千頭駅構内に留置されていたcスハフ1型を連結しホームに据え付けられる。DB1型は戦前製の1〜7号機と戦後の8・9号機が在籍していたが、DD20型の増備などにより現在では戦後製の8・9号機のみが在籍する。昭和27年、加藤製作所製のL型8t機で産業用機関車として製造されたもの。立山砂防などでナローのL型機を見るが、1067mm軌道用の機関車は無いに等しいのではないだろうか。

 井川線のDB1型は旅客列車を牽引することから照明電源のジャンパー栓を備えるのが特徴でもあろう。
その古豪機関車が牽引する客車はcスハフ1型オープンデッキ客車。こちらは昭和28年にダム建設の作業員輸送用に製造された客車である。1段下降式の小窓が並ぶ半鋼製のロングシート車で、妻面の屋根に特徴のあるオープンデッキ構造でいかにも森林鉄道のそれといった感じがする客車。今回もこの2両をチャーターしてのツアーとなる。


DBツアー初の女の子参加。幣サイトではお馴染み?の大阪ハリアーさんのお子さんAちゃん。鉄な人たちの中で大丈夫かな?


 千頭を9:40に発車した列車は最初のフォトランポイントである土本駅へ。前夜からの雨で濡れた線路敷きがいい雰囲気を造りだす。この日の天気予報は雨で終日90%の降水確率。大降りにならなければいいと思ったが、見事にハラハラと降る程度で済んだ。DBのヘッドライトが濡れた枕木に反射する。


木々の葉も雨にしっとりと濡れ水滴を纏う。新緑に囲まれた井川線をゆっくりとDB牽引列車が走ってくる。


 何もない大自然の中を重苦しいエンジン音と駆動するチェーンの音を響かせて小さな列車がやってくる。苔が生え年季の入った石積みの壁は開業当初からのものだろうか。


 小半径のカーブに差し掛かると車輪を軋ませて通過する列車。井川線の最小半径は50m。ダム建設の産業鉄道として敷設されたため、勾配や半径もきつく列車は自転車より少し早い程度の速度で進む。


通過していく列車を後追い、cスハフ1型客車の特徴的な妻面が見られる。


夏はこのデッキに乗ると心地よい風を受け奥大井を満喫できる。


 川根小山駅に到着したDB牽引列車。ここで後続の203列車を先行させるため側線に疎開する。雨のお陰で後方の山に霧が立ち込める。DBチャーターツアーでは初めての雨模様。例年にない雨日のカットを堪能することが出来る。


下り本線から一旦後退し側線へ転線する。203列車の停車位置と揃えて停車させるために職員が停車位置に誘導する。


 203列車到着の間、暫しの休憩となる。参加者は思い思いに撮影する。DB1型の古めかしい運転台には昔のトラックの様なパーキングブレーキや計器が目を引く。キャブにはタブレットが掛けられ、特殊自動閉塞へ移行する前の面影を漂わせる。


 10:58 定期203列車が川根小山に到着する。アプト式開業によって登場した平成生まれのクハ600と昭和20年代後半の車輌との並び。やはり古いモノの方に魅力を感じてしまう。


奥泉で203列車と離合した402列車が川根小山に着く。この列車に珍しく一人の乗客。小雨の振るなかホームをゆっくりと歩く。


 402列車は201列車を接岨峡温泉で分割した編成。そのため、井川寄り先頭に連結されるクハ600型が付かない事が多い。新線切替え前の様な姿を見られるのもこの列車ならでは。402列車が発車するとDB牽引列車も発車時刻となる。


曇天に加えて杉の木立の間を行くため薄暗い鉄路。DB牽引列車は雨で濡れたレールに前照灯を輝かせてゆっくりと進む。


 奥泉〜アプトいちしろ間には大井川発電所への八栗側線が分岐している。ここまで連続25‰の勾配が続きやっとレベルになる。井川ダム建設が決まるまでは右へ分岐する八栗側線が本線であった。


こんな山奥の路盤の悪いところによくも鉄路を敷いたものだ。山と崖に挟まれた僅かな線路敷き、建設当時の苦労が偲ばれる。


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