瀬戸内の味覚と大和に触れる乗り鉄の旅


 1月6日、ホテルを8時半にチェックアウト、大きな荷物を預かってもらい向島へ渡る桟橋へ向かう。駅前渡船乗り場へ向かう通路・駅から渡船乗り場への歩道橋などいたるところにロケセットのある向島への渡船案内が出ている。
 尾道から向島へは5社の渡船事業社が営業しているが、最寄となる駅前渡船へ基本的に案内されている(車利用の場合は福本渡船)。駅前渡船はバイクまで積載可能で、自転車に乗ったまま乗船する地元の方を見ることが出来る。料金は大人片道100円とリーズナブルで通勤通学にも利用されるため定期券もある。


 JR西日本の尾道近隣の「みどりの窓口」ではロケセットと往復渡船の乗船券をセットにした割引券を販売している。往復の渡船200円分がお得になっている。こちらを利用するのも良いだろう。ちなみに渡船では片道毎に運賃を係員に手渡しするが、乗船証などは発券されない。


 尾道側から出発してすぐ、向島の日立造船向島造船所跡地に造られた映画「男たちの大和/YAMATO」のロケに使われたセットの裏側が見えてくる。5分ほどで向島の桟橋に着くとすぐ正面に造船所の入口となる。造船機能は他所へ移転しているため広い構内は意外なほど静まり返っている。
 ロケセットまでは安全を期すために入口から無料のシャトルバスで向かう。開場時間になると尾道市営バスが数台敷地に着き、すぐさま輸送にあたる。


 巨大な建物が幾つも連なり、事務所と思しき廃墟の大きさが操業当時の繁栄振りを窺わせる。資材などを吊り上げた巨大クレーンも寂しくそそり立つ。操業を終えて久しいが、思ったほど痛んでいないように感じられる。
 そんな廃墟・遺構の脇を抜け開けたところでバスを降りる。


 目の前にドンと鎮座するが如く、菊の紋章を輝かせる原寸大の戦艦大和のセットが現れる。全長263m・全幅38.9mの巨体の一部を原寸大で再現しロケに使うという、どんでもないスケールで映画制作が行なわれた。
 戦闘シーンの撮影では、対岸の尾道市街地にまで火薬の爆音が響き渡ったという。建設費用6億円・大道具スタッフを中心に地元尾道の業者を採用して製作されたとスタッフから聞いた。 


 第一主砲の砲身は合成で撮影されたようで砲塔の部分しかないが、実物は2760トンにもなり駆逐艦一隻の重量に相当。3連砲身の砲身長は実に20.7mもあったと言う。その後、第二砲塔・砲身から後が造りこまれている。とてもベニヤ板を多用した造りとは思えない。



 内田守(中村獅童)・神尾克己(松山ケンイチ)らが沖縄特攻で米艦載機隊の猛攻撃を受けた際、最後の最後まで敵機に射撃したカットが撮られたところ。あのシーンで400リットルに及ぶ血糊を使っていたと言う。



 後方に見える80トンクレーンがとても小さく見える。全体の2/3ほどしか造られていないが、それだけでもかなりの大きさを見せるロケセット。クランクアップから半年を過ぎ、所々痛みが見られるようになったが、それでも圧倒される巨体には変わりない。


 細かく造りこまれているかと思えば、すぐ脇でセットが切れて裏方が見えている。鉄骨と軽量が見え、セットの裏側はスッカラカンだということがわかる。


セットの周りを見れば造船所であった名残がここそこに見られる。これだけの施設が放置されているのも何とも寂しいものだ。


 ロケセットの見学を終えて再び渡船で尾道市内に戻る。ホテルへ寄り荷物を引き取って11時開店と言う中華そば屋へ向かう。店の名は「つたふじ」、尾道ラーメンと言えば「朱華園」が全国的にも有名だが、こちら「つたふじ」も朱華園同様に戦前の屋台売りから始まった尾道の中華そばの大元とも言うべき店。
 前夜にお邪魔した居酒屋の親父さんやお客である地元の方々に聞くと「朱(朱華園)さんは有名になって味が変わったよ。昔っからの味ならつたふじだな。」と言う。

 その話を聞き市役所近にある本店へ。10時50分過ぎに着くと換気扇からスープの香りが漂ってくる。数分後、暖簾が掛かってさっそく店内へ...って既にカウンターに3人のお客さん。カウンター越しに主人とパチンコの話をしつつツマミとビール(笑)
 カウンター席が10席ほどの狭い店内でメニューは中華そば又はうどんの並・盛。醤油ベースに鶏がら・豚骨に瀬戸内の小魚でとったダシが入るが小魚のダシが強く印象に残る。シンプルに焼豚・メンマ・ネギがのり、特徴でもある背脂のミンチがスープに浮く。味は懐かしさを感じさせる「海辺の中華そば」と言ったところか。出てくるまで数分の間に席は埋まるが観光客然としたのは自分だけ。時間が早いせいもあるのかな?

 ちなみに地元では「中華そば」と呼ぶ。尾道ラーメンの幟・看板を掲げて営業している店は観光客目当てと言って良いそうだ。


 再び駅に戻り某列車の指定席券を求めて11:39発の下り列車に乗車する。すぐ隣の糸崎止まりで、すぐの接続で下関行きの快速シティーライナーが待っている。車両は115系3000番台、117系に115系の顔を付けたようなスタイルは西日本エリアでしか見られない。この列車で三原まで一駅乗車。三原駅は2面4線の在来線に新幹線が寄り添う高架駅で呉線が分岐している。


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