瀬戸内の味覚と大和に触れる乗り鉄の旅


 年末年始の繁忙期を毎年の事ながら淡々とこなした4日、毎度お馴染みの伊東線上り最終(22:41発)に乗り正月明け休みを瀬戸内の街を巡る行程を組んだ。

 この日の最終は伊豆急200系のトランバカテル装飾車。底冷えする寒さの中、乗務する顔見知りの車掌と暫しの会話。
広島往復の往復割引切符を見せると...
「サンライズゆめ ですか?」と、ピンと来たようで...

 熱海23:40発・広島10:00着でシーズンの一定期間のみ運行される臨時寝台列車「サンライズゆめ」、広島直行で楽ではあるが、この日は途中の岡山まで利用する。23:23発の「サンライズ出雲・瀬戸」でも間に合うが、飲食物の仕入れなどもあり、余裕をもたせておいた。

 やがて伊東止まりの下り列車が到着。折り返しが熱海行き最終となる。寒さに肩を窄めて列車の到着を待つ車掌...まさか翌朝から雪になるとは、この時点では思わなかっただろう。

 23:04 定刻に熱海に着いた伊東線最終列車は10分ほどでパンタグラフを落とし翌朝まで留置される。いったん改札を出て駅前のコンビニで飲食物を購入する。サンライズ出雲・瀬戸もそうだが、「ゆめ」にも車内販売はない。翌朝まで食にありつけないのは辛いものがある。
 買い物を済ませてホームへ上がると、先行する「出雲・瀬戸」の到着にも余裕であった。14両編成の寝台列車、一昔前なら一列車でもこれに近い位の編成が組まれていたであろうが今は昔、2編成併結でも余裕があるようだ。寝台離れ、東海道筋では益々加速するのだろうか。


 今回の旅、片道600km以上の区間を往復する時に有効な「往復割引」を利用し往復1割引にする。広島方面へのお得な切符がないため、この切符を利用する。サンライズゆめも、もう少し安く利用出来るようになれば利用率も上がるのではないだろうか。翌朝に備えて「シャワーカード」を購入。この列車に乗るとどうしても使いたくなる。


 23:38過ぎ、2番線に列車が入る放送が流れる。ホーム中央寄りに停車するかと思いきや、サンライズ出雲・瀬戸と同様の浜松寄りに停車する。横サボがどんな標記になっているか興味津々であったが、見てみると何とも平凡な「特急 広島」。寝台の文字すら入っていない...。何とも寂しいものだ。
 乗車するとすぐに検札が回ってきた。乗車券は広島・寝台券は岡山までで購入してある。車掌氏は一瞬不思議そうな表情を浮かべ「岡山までで宜しいですか?」と聞いてきた。確かに17分前に岡山を経由する同様の寝台があるのに、わざわざ広島行きの寝台で岡山までとは変な組み合わせだと思ったのだろう。
 「出雲・瀬戸」は熱海23:23発→岡山着6:27。一方「ゆめ」は熱海23:40発→岡山着7:34着である。17分差で発車した列車が岡山着時点で1時間7分差に広がっている。ゆっくり寝台の旅を満喫できると言う点・早朝の寒い時間に着かずに済む点などを考えると「ゆめ」がお得になる。


 乗車したのは3号車の「ソロ」。中央通路を挟んで両側に上下2階層に個室寝台が並ぶ。客車寝台のソロに比べたら狭さを感じざるを得ないが、寝る分には十分の広さだ。2階室に荷物を置いてミニロビーへ。車窓を眺めつつアルコールを...。
 検札を終えて戻ってきた車掌氏からシャワーカードを購入。この日の利用客数を聞くと40名ほどだと言う。前夜の上りは満室状態だったそうで、かなりギャップがあるようだ。この車掌氏、年末の29・30にも乗務したそうで、やはりその日は往復とも満室だったとの事。臨時列車で知名度も薄いかと思ったら、意外と利用が見込めているようだ。


 岡山へは定刻の7:34に着く。仕事始めになる企業も多々ある日と重なり、通勤通学輸送対応で次々に列車が到着しては発車していく。
関東では見られない213系・223系などに加え、お馴染みの形式でもある113・115系が姿を見せる。そのお馴染みの車両も更新工事を受けて車内・車外共にオリジナルとは見違えるほどに整備されている。


 吉備線・津山線ホームには国鉄型気動車が4・5両編成を組み多くの学生を輸送してきた。8時を過ぎて活気を見せるホーム、その波がひくと気動車のディーゼルエンジン音だけが構内に響く。


 岡山駅を出ると目の前がバス専用レーンとなり、その先に岡山電気軌道の駅前電停がある。東山線・清輝橋線合わせて4.7kmと軌道事業社の中でも一番短い路線長の鉄道。岡山駅から道路を渡る手間があるため、可能であれば駅前への延長を望みたいところ。


 岡山電気軌道は路面電車のほかに路線バス網を広げている。一日乗車券は路面電車と路線バスの大半を利用できて500円。
 岡山観光には便利な乗車券であろう。

 岡山・倉敷へはJRの岡山・倉敷ぐるりんきっぷが便利でお得だろう。

 運賃は100円・140円と距離で2分される。まずは東山まで乗車する。市中心部を抜けると車内も閑散としてくる。車両を見るとほぼ同等のボディを有する7000系列が主体、足回りを旧車から流用しているか新造か、窓配置が異なる程度で登場年度などで7000〜7600・7900型に分けられる。このほかに東武日光線からの転入車3000型や超低床車の9200型「MOMO」が在籍。7000系列は共通運用、他は指定運用に就く。


 京橋を渡る車両の脇を軽が追い抜いていく。東山線は日中5分間隔・清輝橋線は9分間隔で列車が運行されている。全線の大半がセンターポール化されており非常にスッキリしているが、競合するバスが自社以外に中鉄・下津井電鉄・宇部自動車・両備バスなど多数存在し、利用客の奪い合いが続いている。


 清輝橋線の終点清輝橋は電停から歩道橋で各方面へ結ばれている。岡山電気軌道の制服は「MOMO」をデザインしたジャンパーにキャップと言う、一風変わったスタイル。この日は木曜で「MOMO」は検査運休、3000型も時間の関係で撮影するに至らなかった。同系の車両ばかりで趣味的には?だが、保守・管理面では良いのだろう。


 両線の分岐電停である「柳川」、東山行きが信号待ちする電停へ清輝橋からの列車が着く。現在、岡山電軌は2路線に分かれての運行がなされているが、将来的には両線の終端を結びループ状にする計画があると言う。
 また、南海電鉄貴志川線の経営を引き継ぎ「わかやま電鉄」を運営することとなっている。自社のみならず、他社への経営支援を打ち出した過去もあり、主体的な経営がなされているようにも感じられる。
 環境に優しい鉄道・人に優しい路面電車、超低床車「MOMO」の増備によるもっと利用しやすい鉄道へ変わっていくことを期待したい。


 岡山電軌の撮影を終えて岡山10:26発の快速サンライナーに乗車。117系を使ったワンマン列車である。車内の大した変更はないが、外装がオリジナルより全然明るい太陽をイメージしたようなカラーに変わっている。
 
 途中3駅を通過し最初の停車駅倉敷で下車。改札を出て右手へ出ると、次に訪れる水島臨海鉄道の倉敷市駅がある。ビルの1階に位置する1面1線の駅であるが、その脇には数本の側線があり、貨車が止まっている。「臨海鉄道」の名が示すとおり、本業は貨物輸送である。しかし沿線の宅地・通勤通学など旅客利用も多く、以前は旧型気動車で賄われていた旅客輸送も新型の軽快気動車を導入している。


 新型車はMRT300型、日中は単行で朝晩には数両連結して運行されている。車内はクロスシートとロングシートが千鳥に並ぶ。終点の三菱自工前は朝晩しか列車が行かないという、いかにも通勤輸送用の駅といった感じ。
 この時間帯の終点である水島まで一往復乗車する。本来なら朝方来てキハ20に乗りたかった...。

 単調な路線で、大半が高架線ということもあり乗り鉄する分には面白味に欠ける路線であった。再びJRの倉敷駅へ戻り次なる鉄路を目指すことにした。


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