箱 根 山 の 紫 陽 花 夜 曲


 6月29日(水)、前回訪れてから10日後の箱根登山鉄道に足を運んだ。この日は朝から梅雨らしい雨模様、箱根の山は一面霧に覆われ視界も悪い。箱根登山鉄道の名所でもある出山鉄橋を行く列車を皮切りに薄暮から闇に包まれる時間帯まで、ライトアップされた紫陽花を追った。


 出山鉄橋を撮影したポイントから180度向きを変え遥か山の上を見ると、今しがた鉄橋を渡った列車が顔を出す。山上から下ってきた列車と交換し再び山に挑む事になる。箱根登山名物スイッチバックのための出山信号場である。


この地図を見て頂ければ、どの様な線路配置になっているかが判るだろう。


 先日も訪れた大平台トンネル付近へ行ってみた。10日前はほとんど咲いていなかった紫陽花も徐々に色付き始めている。この様子だと一週間後くらいが見頃だと地元の方に伺う。霧雨が舞い視界が本当に良くない。


 線路端に咲く紫陽花をあちこちから見通し、列車と絡められるところを探しているうちに上り箱根湯本行きが通過、花ピンで列車を流してみたが...。来たのはモハ2型を先頭にした旧車3両編成だった。


 時間を追う毎に暗くなりつつある大平台界隈、トンネルの中に消えてゆく列車を20秒開放で追う。線路端の紫陽花がライトアップされるまで後30分、暗くなっては来たがまだまだ明るい。


 18時30分、一斉に照明が点される。3300Vの専用高圧線から柱上変圧器で200Vに減圧した電源を用いてライトアップされている。満開には少し早い紫陽花も灯火と共に夜の輝きを与える。


 すっかり暗くなった鉄路をさきほど湯本に降りて行った列車が折り返してきた。強羅寄りのモハ1型2両は吊り掛け駆動・後のモハ2型はカルダン駆動、やはり前者の方が山を登り喘ぐ重苦しい動力音がしていた。


 19:14 この日最初の「あじさい号」が通過、紫陽花が咲く6月18日(土)から7月10日(日)にかけて毎夜運転される臨時電車は上下合わせて5本、車内灯を消して車窓を眺めやすくしている。そしてライトアップ区間に入ると徐行しゆっくりと花を観賞する事が出来る。今年の予約はほぼ満席となっている。


 「あじさい号」通過後、ライトアップを知った近隣に宿泊している人々がやってきた。デジカメや携帯のカメラ機能を使い思い思いに妖艶に浮かび上がる紫陽花を撮っていた。少し物足りなさを感じつつも何本かの列車を撮影する。


 普通列車でも後部を前照灯で照らし乗客サービスを行なう列車も見られる。トンネル前踏切周辺には平日にも限らず数人のカメラマンが足を運んでいた。満開になったらもっと絵になるんだろう。


 大平台から宮ノ下の一区間に乗る。夕方から無人になる大平台駅、列車が来るまで誰一人いない駅も霧に包まれ線路も駅を出ると見えなくなる。静かな駅を取り囲む様に国道一号線を行く車の音が響く。


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