北の大地へ・往復寝台列車の旅


 富山を出発して暫くすると富山地方鉄道が北陸本線に沿うようになる。滑川を過ぎて早月川を渡っているところで地鉄の列車とすれ違った。その後方には立山連峰が山なみを連ねる。天気が良ければもっと綺麗に見えると放送が流れた。そして個室側の車窓には地鉄の西魚津駅が見えた。一昨年の6月にこの駅に1時間ほど滞在したのを思い出す。


 黒部駅を通過したあたりだっただろうか、予約しておいた「プレヤデス弁当」が個室に届けられる。これは、注文を受けてから食堂車の厨房で仕立てられる弁当である。届けられた時はまだご飯や揚げ物も温かった。


 泊を過ぎると車窓に日本海を望むようになる。晴れていると、季節にもよるがここから直江津までの間で日本海に沈む雄大な夕陽と黄昏る空を望めるが、残念ながらこの日は吹雪の様相を見せていた。
 だが、食堂車スタッフの話では、1・2月の荒々しさを見せる日本海には、この様な荒れた天候もまた良く似合うと言う。
 名勝「親不知」を走りぬけ17:57、定刻に直江津に到着。2号車乗降ドアから後方を望むとホームに降り積もる雪は踏み潰される事なく綺麗な「白」を魅せていた。


 19:38、本州内最後の旅客扱い駅である新津に到着。意外な事?にこの駅からの乗客も稀にあると言う。
 車内では大阪駅で購入したツマミを肴に漆黒の車窓を眺めながら持ち込み、食堂車の冷凍庫で預かって頂いていた、奄美黒糖焼酎「FAU」を嗜む。アルコール度数44度の原酒を伏見の天然水をチェーサーにチビリチビリ。贅沢な時間が流れる。


 静かになった車内を散策してみる。通路はフカフカの絨毯が敷き詰められていて歩き心地がとてもいい。フリースペースの4号車「サロン・デュ・ノール」へ行ってみる。電球色の温かい灯りが包む車内、元々は14系寝台車オハネ15だったようだ。昭和53年の製造、既に30年の車歴になるが、そうとは思えない造りを見せる。


 一端個室に戻り寝台のビデオ映像を見て時間を潰す。入口ドア脇には空調スイッチとベットとソファを切り替えるスイッチがつく。ベットにするとセミダブル相当の広さの寝台が出来る。そして枕は通常の枕と低反発枕が用意されている。


 2月19日(火)

 1:05、深夜の大館駅で運転停車。4号車のサロン・デュ・ノールで同じく札幌まで行かれるM浦さんと話していると2時を回る。車内巡回に来た車掌に時間を言われてビックリ。旅と鉄道の話をしていると時間が経つのは本当に早い。

 個室に戻る際に3号車「ダイナープレヤデス」を通る。各テーブルには和調のキャンドルライト、厨房には所狭しと器材や食器が並ぶ。これだけの空間で本格フランス料理のディナーからランチ・朝食と全てをこなす。


 誰もいない深夜の食堂車「ダイナープレヤデス」。三脚を持参しなかったため、高感度で撮影...荒れてしまうのが残念だがいい雰囲気の食堂車である。

 青函トンネルまでは起きていようと頑張ってはみたものの...睡眠不足が祟って蟹田での運転停車の記憶を最後に就寝...


 目覚めは洞爺到着の車内放送。車窓を見ると内浦湾が間近に迫って見える。一夜にして日本海側から太平洋側へ。厚ぼったい雲が出ているが、終着の札幌は快晴との事。
 7:17、東室蘭に停車。何の影響も受けることなく列車は定刻どおりの運行を続ける。


 朝食は7:30からを予約。その3分後に登別に到着。
 朝食は和食をチョイス、予め用意されたおかずにライスと味噌汁が後から運ばれてくる。ゆっくりと車窓を眺めながらの朝食はどこでも食べられる様な内容でも美味しく感じる。
 登別を出て30分ほどで苫小牧に到着。30分も掛けて朝食をとるなんて久しぶりのこと。


 8:23、最後の途中停車駅「南千歳」に到着。ここでは道東へ向かう方々が結構下車していった。ホームには全く雪がない...北海道に来たって感じがしない。ここを発車すると40分ほどで終着の札幌、21時間4分の旅の終わりである。

 9:00、札幌到着の車内放送が流れる。各線への乗換え案内などが一通り済むと「いい日旅立ち」のBGMと共に札幌駅へ。


 9:07、遅れもなく札幌駅5番線ホームに到着したトワイライトエクスプレス。道内はこのDD51が重連で牽引してきた。到着から僅か10分もしないで回送されていった。その後9:18には3番線に上野からの北斗星1号が着く。
 21時間あまり...長いようで短い贅沢な一日をトワイライトエクスプレスで過ごすことができた。


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