平 日 民 鉄 巡 り           箱根駒ケ岳ケーブルカー編


 この日、操作室勤務していた職員もまた本線から移動で来ていた。本線勤務中は韮山に住んでいた事もあったと聞いた。そのうち、操作室・機械室を見せてくれると言う話になり、喜んで見せて頂いた。全般的に丸みを帯びた愛嬌あるスタイルの操作盤。これも昭和32年からずっと使われてきた骨董品だ。


電車で言うところの主幹制御器、山頂側へ向かう車両側へ回すのだそうだ。速度計も独特なもの。

毎秒何メートルと言う表記の速度計は初めてみた。


 操作室の頭上には神棚が設けられ安全運行を祈願していた。操作盤の横には電動機の動力盤が設けられていた、見ると3kvを示している。電動機の1次電圧は3kvなのだそうだ。意外と大きな数値に驚かされた。


 操作室の真下にある機械室に入る。出力100kwの主電動機が左右に配置され、ブレーキ装置・減速機と繋がっている。巻き上げ方向によって2台の電動機を交互に起動させているのだと言う。減速機から大きな歯車を介して巻上げを行なう。これら設備も全て昭和32年製との事だが、比較的綺麗に整備され古さを感じなかった。


 電動機・減速機も日立製、初めてみる定格電圧3000Vの主電動機銘板。出力欄にはkw表示と馬力表示の両方があった。減速機を介して大きな巻き上げ機へ動力が伝わる。頑丈に作られた機器に安全さを感じてしまう。


スポーク動輪ならぬスポーク歯車?これだけ状態の良い機器、このまま閉鎖され解体されるのだろうか。


 興味深い機器室類を拝見させて頂き、16:15発の車両に乗り下山する。車両は「駒ヶ岳号」。どちらも同一車体で味気ないが、その設備は説明板にあったとおり安全性重視の設計になっているという。


 帰りも自分ひとり、廃止後の人事はまだ聞いていないと言う。同じ駒ケ岳に上るロープウェイも同社の運行でもあるし鉄道線もある。そんな話をしていると僅か5分で登り口駅に着いた。そこには職員通勤用の送迎車が待っている。最終の16:30発は山頂・登り口共に乗客なしで運行停止。そのまま営業終了となった。


 駒ケ岳ケーブルカーへ向かう道路は途中から伊豆箱根鉄道の私有道、通常は夜間閉鎖され登り口へ向かう事は出来ない。平成17年8月31日17時、その時刻を以ってこのゲートが開かれる事はなくなる。


SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送