梅雨の中休み 川根路の日常


 山岳路線の井川線は山と川に挟まれた形で線路が敷かれている。そのため、落石などが稀に起こる。閑散期の平日、法面崩落が見つかった箇所の治山工事のため、平日5日間の区間運休を行い集中して工事される。その間はバス代行とされる。安全を最優先した措置がしっかりとられている。


 千頭駅前の代行バス乗場、途中の奥泉駅までの駅はバスが通れる道沿いに代行バス用のバス停が用意されそこから乗車する形となる。使用されるバスは、普段寸又峡温泉行きに使われている路線車。行き先幕が外され、列車代行の表示がなされている。


 奥泉9:31発の下り始発列車。本来は千頭9時ちょうどの発車となる列車である。代行バスと寸又峡温泉からの路線バスの乗客を待っての発車となる。


 閑散期の平日にしては珍しく若い女性の二人連れがあった。小柄な井川線の車輌を面白そうに見て携帯撮影。都会にはない手動ドアの乗降口もまた珍しい。


 9:31 定時になり駅長が発車合図を出す。運転士・車掌・駅員、全てが鉄路の安全を司る。


 長島ダム駅では信号設備の点検が行われていた。列車接近を確認し手を休める。到着した列車からアプト式機関車を解放する。その仕事も手馴れたもの。


奥泉で写メを撮りまくっていた2人、列車より先に駅に居た自分を見つけ「どうやって来たんですか〜?」と。

話をしているうちに発車時刻。カメラを向けると笑顔で手を振ってくれた。


 長島ダムからアプト市代へ戻る。側線に何か止まってないか?とチェックに向かったが何もない(笑)。上り402レを撮影して川根小山へ移動することに。
 ちなみに通常は制御車が付かない402列車だが、区間運休中は次運用にそのまま移行するため制御車付きとなっている。


 奥泉駅から一駅千頭側へ戻ったところにある川根小山駅。区間運休中は川根両国の車輌区へ戻れないため、ここで車輌の点検・機関車への給油を行う、いわば仮検修区として機能する。


 作業環境は変われど、一切の手抜き・妥協はない。安全運行のために縁の下で働く者の目が光る。屋外であるため、雨風が強くなると点検環境も厳しくなる。


一通りの点検を終え、引き上げる車輌区の職員。車に乗り川根両国車輌区へ向かい通常業務に戻る。


 402列車で奥泉に着いた列車は川根小山に引き上げて給油を行う。ヘッドマークもそのままに到着。定期列車では左側通行となり手前の線路に進入するが、回送のため下り線へ進入。滅多に見られない絵を撮る事が出来た。


 その後、本線に戻り青部の紫陽花坂で101列車を待つ。この辺りの紫陽花はもう終わりに近づいていたが、時間的に他へいくこともままならずここで撮影。平日なのに7両の長編成が組まれていた。


 昼飯を買い大井川の河原へ。曇りで風もない河原は意外と涼しく、ゆっくりと時間だけが流れる。水の流れがゆっくりとして、水鏡になっていた所に腰を下ろす。景色が反転して映る水鏡、そこへゆっくりとやって来た列車。

 僅かに吹いた風で水鏡が歪んで鏡にならず...自然の悪戯に成す術もない。


 16:35 ひょっこり現れた子供が列車の停止位置付近に立ち、大きく手を挙げる。列車に乗るわけではない。繰り返される日常の風景である。


 列車が停車しドア扱いがなされると笑顔で乗務員ドア付近に近寄る子供。すると運転士が顔を出して暫しの会話。時がゆっくりと流れていく。


 17:16 千頭行きの列車が到着する田野口。通常は前の車両から乗降するため後ろの車輌は扉を開かないが、この列車は夕刊輸送を行う関係で、ここ田野口でも全部の扉を開く。地元の新聞店の方が車内から新聞の束を降ろしていく。


 全ての新聞を降ろし終えると運転士に合図を送りドア扱い。この地域の夕刊は翌日の朝刊と一緒に届けられる。列車での新聞輸送もほとんど見られなくなっている貴重なシーンとなる。


                                

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