神尾崩落、奮闘を続ける大井川鐡道


 昼食をとる為に崎平から11:44発の上り列車に乗る。車内は地元の方々数人しか見られない。これが本来の姿の大井川鐡道なのだろうか、本当にこれだけの乗客数では鉄道を維持してゆくのは困難なことだろう。いかにSL列車が大きく貢献し、また地元の産業にも大きく寄与しているかが窺い知れる。
 田野口で下車し「みつや商店」の冷やしラーメンでも食べようかと思ったら...朝開いていたカーテンが閉まっている。こりゃオバちゃん出かけちゃったかな?仕方なくそのまま乗車し笹間渡へ。火曜日で「うりや」は休みだろうからとお隣のパスタ屋を覗くが休業の札。ならばって事でコテージ管理棟で!と行ってみたがこちらもお休み。ついでに川根温泉も整備の為に休館、何だかなぁ...。

 せっかく来たのになぁと思いつつすぐの下り列車で千頭へ戻り駅前の飲食店で遅めの昼食をとりまた上り列車に。14:04に田野口に着き降りると今度はカーテンが開いている。何でもヒマなお昼時に買い物に行ってたそうで...。「SLないでお昼はヒマだから」だって。お昼食べた後だったので缶酎ハイを買って駅舎でひと寝入り。木のベンチにゴロンとなると開け放たれた窓から涼しい風が入り込む。小一時間気持ちよく横になれた。


 昼下がりの無人駅、乗降もなく静かに発車してゆくローカル列車。SLの走らない川根路に訪れる人も少ない...


 田野口15:10発の下り列車で駿河徳山へ向かう。駅に着くと幼稚園児の帰園時間、列車に乗ると先生が外から座席に座る様に手振りを示す。白の園服に麦わらにリボンの可愛らしい帽子を被った園児達は先生の指示をしっかり聞き座っていた。こちらはSLが走らなくても毎日繰り返される大鉄の日常。


 15:35発の上りは川根高校の下校時間に合わせたかの様な列車。埋め尽くすまではいかないが大勢の学生がホームに集まる。しかし、贅沢な通学列車ではないだろうか。本家近鉄では今も現役特急として活躍する16000系が通勤・通学の足になっている。静かで快適な通学が羨ましい。


 雲の切れ目から西日が射すと川面がひと際輝きだす。緑の山々に大井川の流れ、自然豊かな沿線は車窓を眺めているだけでも心が和むもの。鉄道寸断により車輌洗浄設備のある新金谷へ戻る事が出来ない彼らは日中フル稼働。当然車輌は汚れに汚れてしまう。そんな窓の汚れが気になり8月末には寸又峡温泉の女性部の方々が千頭駅で僅かな折り返し時間の間に窓を磨く奉仕をしたと言う。
まさに鉄道と地元が一体となっている感が伺える。鉄道寸断による被害、これ以上広がらない事を願いたいものだ。


 上り列車が福用に到着、降車扱いが終わるとすぐさま下り線への入換え作業が行われる。朝方と異なり時間に多少の余裕がある。入換えが終わると代行バスの到着を待つばかり。運転士も駅員も暫しの休憩時間となる。


 列車が走らなくなり約半月、うっすらと錆がレール面に付着しだす。輝きを忘れた鉄路に再び活気が満ちるのはいつの日だろうか...


 代行バスを待つ間、駅員同士の会話が耳に入ってきた。何でもSLと客車を家山まで陸送して家山〜千頭間でSL列車を運行するとかしないとか。詳しく聞いてみるとC11190と客車5両をトレーラーで陸送する方法で何とかSL列車を走らせたいそうだ。既に190号機が大代川側線に移動されていると言う。ならば見に行ってみるか。

 大代川側線に鎮座するC11190号機、何か変だな?とよ〜く見ると煙突が無い。横から見るとロッドも取り外されている。輸送に関わる道路使用許認可申請と平行して機関車を輸送する手立ても行われていたのだ。

 6日の仮復旧が絶望的になったのが8月末、そして9月頭にはもう次の支度が着々と進められていたのだ!駄目か...と思っていたのは我々外野だけだったと言う事だろう、現場は既に動いていた。さすがは大井川鐡道である。


 新金谷駅に戻って駅舎内に入ってみるとまだ荷解きの始まっていない店舗があった。そろそろ荷解きが行われているだろうと覗いたがまだ早かったようだ。
「支那蕎麦まるさん」金谷店、鉄道復旧前に営業開始し汽笛が響きだした頃には多くのお客さんで賑わっている...そうなっていれば良いですね。


 静まり返った構内、今朝方はC11227号機が展示されていたがこの時間には「いぶき」に数量の客車が繋がれ展示されていた。SLの保全も兼ねて移動させてるのだろう。朝晩で違ったスタイルを見て新金谷を後にした。


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