’ 0 8 夏 の 大 井 川


 接岨峡で温泉に浸かり、世間話をしていたら5月末に崩落した井川駅前の県道60号線の迂回路が完成していると言う。さらに、それが井川線の堂平側線を利用していると聞き、千頭経由で帰る予定を変更して井川へ向かう。
 林道井川閑蔵線を抜けると井川駅方面にはバリケードが築かれていたが、お構いなしに駅方面へ下る。
駅駐車場のところで完全にシャットアウトされている。脇には、静鉄ジャストラインが5月末に廃止した【急行井川線】の後を引き継ぐ形で6月から運行を開始した【井川地区自主運行バス】のバス停が立っている。


 崩落現場の様子を見ると、大半の土砂は撤去され、車一台が通れるスペースが確保されるまでになっていた。だが法面を見ると、またいつ崩れてもおかしくない様な雰囲気。土止めの石垣が何段か見られるが、それ以外は柔らかい土の様子。これから法面の補強工事が行われるのだろうか。


 井川駅を後にして、井川本村方面に車を進めると、西山平のバス停付近に「井川ダム迂回路」の標識が見えてきた。見ると高さ・幅の制限が加えられているが、迂回路が存在する事を示している。
 車を進めると、旧堂平貨物駅跡付近から仮設道路が設けられていた。入口付近には応急復旧(迂回路)工事の工事標識がある。これを見る限り8月29日までとなっている。その後は本道が仮にでも復旧するのだろうか?


 堂平駅跡付近の迂回路入口。この入口と井川ダム側の入口、中間の数箇所にガードマンが配置され、双方の流れを管理している。道幅は普通車が擦れ違えないので、それに対応するための措置で18時まで配置されている。
 迂回路に入り50mも進むと、後方に堂平側線が顔を覗かせる。


 線路には保護シートが被せられ、その上に砂利・アスファルト舗装がなされている。形式上は休止路線であるため、完全に線路を埋めてしまう事が出来ない為の措置だろう。
 側線終点の堂平方面を望むと、転轍機の矢羽があり、その先は...残土なのか何なのか判らないが、線路を埋め尽くした山が出来上がっている。この矢羽からが堂平駅だったと思われるが...その面影は全くない。


 迂回路はガードレールや外灯も設置されていて、夜間の安全にも考慮されている様子。傍らの石垣を見ると鉄道のそれらしい雰囲気があるが、線路がないと判らない。
 鉄道の遺構を探しながら迂回路を歩く。ガードマンにも珍しがられる(笑)。唯一見つけられた遺構は2.5‰の勾配票。これ以外は構造物のトンネルくらいしか見当たらなかった。


 その構造物の65号トンネル。左の画像は2003年に撮影したもの。緑の中に錆た線路とポッカリと開いたトンネル。
それが、迂回路に整理されたのが右の画像。所々に待避所があるが、ガードマン不在時間帯はヘタしたら結構な距離をバックしなければならないだろう。


 この65号トンネルがある為に、幅員・最大高が指定されている。井川線独特の小さな規格のトンネルでなかったら、大型車でもある程度通過できたであろう。


 シャッターに閉ざされた第二西山トンネル(64号トンネル)。脇にはフェンスに隔たれて細い道が井川ダム展示館駐車場の道路へと続いていたが、その道を拡幅して迂回路が設けられた。


 井川ダム側の入口、基本的には堂平側と同じく制限門が作られている。その付け根は井川ダム展示館の駐車場へ向かう道路の一端。元々は井川ダム建設資材輸送の鉄路があった辺り。無理に自然を破壊せずに迂回路が設置された事が伺える。


 井川ダム湖半から迂回路のある対岸を望むと、白いガードレールが緑の山の中に散見される。ここが堂平側線跡である。鉄路だけでは全く気付くこともなかったであろう休止線が、ガードレール設置で一目瞭然となった。


 井川ダム堰堤を渡り、本来なら左折して井川駅を経由して本村・畑薙方面へ向かうところだが、今は右折して小公園・渡船乗場方面へ向かって迂回路を経由して本村方面へ向かう。道路案内看板にはテープで矢印がつけられている。
 県道60号線本道は井川ダム堰堤から左折したすぐのところで規制がかけられている。


 そのまま県道60号線を静岡市内方面へ進むと、【急行井川線】が運行されていた当時の休憩場所であった横沢に着く。現在は静鉄ジャストラインの阿部線が横沢まで運行し、この先の井川方面が【井川地区自主運行バス】によって運行されている。今までは1便しかなかったが、朝晩各1便設定されたため朝の便で井川を出て、夕方の便で帰る事も可能になった。


 自主運行バスの運行開始で横沢に待合所が作られた。中にはソファーが置かれていて待ち時間に雨風を凌ぐのにいいですね。
でも、静鉄ジャストラインの横沢バス停は、自主運行バスの横沢バス停は、上流方面へ100mほど向かったところ。100mでも歩くとなると結構不便なような...今後の協議なんでしょうかね。

 1日半の公休を使って、夜の大井川の風物詩「納涼ビール列車」と井川線の「かわかぜ」号を楽しみ、さらに災害迂回路として活躍する堂平側線を垣間見つつ、運行形態の変わったバス路線を見てくる事が出来た。

 まとまった休みのとりづらい夏、十分に堪能できた。


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