秋、大井川鐵道の日常と非日常


 家山に着くと既に搬入作業が開始されていた。先輪に続いて従輪が吊り上げられ線路に降ろされてゆく。小雨が降り出し手元が滑るなか慎重に作業が進められていく。


 大井川運送倉庫の2台のトラックから次々と車輪が降ろされてゆく。運搬に携わった運転手が「車体が吊り上った時は感動もんだったよ」と言う。残念ながらその姿を見る事が出来なかった。


 第2動輪が吊られてゆく。2度目の輸送で要領を得ているのかスタッフの姿に余裕が見られる。第2動輪が上がってすぐ第3動輪を吊る支度を整える。片や必要のない機材の片付けをする姿も。まもなく足回りの荷降ろしが終わる。


 足回りが全て降ろされた頃に下り列車が家山駅に入ってきた。列車に乗る乗客が物珍しげに作業の様子をみていた。毎日SLを見ている沿線の方でも分解された姿を見ることは滅多にないのだろう。
 作業が終わると雨避けのシートを被せてひとまず終了。夜間作業jに備えて小休憩に入るのであろう。少数精鋭の大鐵技術陣、この日もほとんど付きっきりだったのではないだろうか。


 SLの輸送を知ってか知らずか帰りの列車を待つ間、改札ラッチで遊ぶ子供達の姿があった。自動改札機が主流になった現代でこんな遊びが出来るのも地方ローカル私鉄の魅力であり大井川鐵道の日常であろう。


 小雨の降り止まない川根路、102レが家山川橋梁を渡る。気温が下がり本来のSLだったなら白煙が綺麗に棚引いたであろう。シュッシュッと言う音の代わりにゴォォンと言う電動機の音を残して去っていった。


 3時間ほどの仮眠をとり家山駅に戻る。時刻は19時半を回りすっかり闇夜に包まれた構内は先ほどより強い雨に打たれている。ホーム中央の上屋が掛かる場でバルブ撮影してみた。長年風雨耐えてきた柱に欠けた駅名表、雨の向こうに赤く輝く信号の灯火。しっとりとした静かな時間が流れます。
 やがて列車が到着すると人の流れが加わる。乗客の動きに対して駅員の動きは「静」。列車の発車までしっかり見送っていました。


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