晩 秋 の 大 井 川


 翌29日、井川線下り始発の201レを三叉橋で待ち受ける。色付きはイマイチではあるが、まだまだ沿線の紅葉は終わっていないようだ。秋の行楽シーズンギリギリまで行なわれた塗装工事のお陰で、朝陽を受けて銀色に輝く橋梁をゆっくりと列車が渡っていく。


 日々、落ち葉が線路敷きに増えていく。その落ち葉の影響で勾配区間では機関車が空転を起すこともあるという。紅葉期が過ぎると保線期に入る井川線、線路端には交換される真新しい枕木が転がっていた。


 奥泉から201レに乗車し接岨峡温泉まで一往復する。乗車するとすぐに大井川が寄り添う。この日は風が強く川面が波立ち陽を照り返す。色付いた葉を透過させ、いっそう輝かせていた。


 12号トンネルと13号トンネルの間、風の影響を受けず流れのゆるやかな大井川の流れを見ることが出来る。山の彩りが一面に映され川面に絵を描く。暫く進むと逆光に映える紅葉した木をみる。列車は徐行しゆっくりその姿を目に焼き付けることができる。


 杉の木立の中を抜けてゆく姿は森林鉄道そのもの。冷たい風を受けても窓を大きく開けて山の彩りを楽しむ乗客。しきりに進行方向右側に座り窓を開けて景色を眺めるように奨める車内放送。窓の開く列車が少なくなるなか、ここは窓を開け自然を体感することに意義がある鉄路でもある。


 アプト市代に停車中の列車を真っ赤に色付いた楓が迎える。大井川対岸にも見せる赤・黄色の葉、この辺りがちょうど見頃だと車掌。この車掌、乗務する列車から見る紅葉は今年が最後となる。


 一往復して再び本線へ。臨時1003レが12時10分過ぎに中徳橋際を通過していく。珍しく煙を吐き上げ3両の短いローカル色強い編成を牽いていく。日当たりがイマイチなのが残念だ。


 モロ逆光の田野口の大銀杏脇を定期101レが通過。左手で即席フードを作るもカバーしきれず光が漏れる。銀杏の露出がバッチリで煙を棚引かせて通過して行っただけに悔やまれる。


再び千頭へ戻り、102レの発車を撮る。斜陽に輝くカマ・煙が哀愁を漂わせる。


 15:15発のSL急行を見送り5分後、井川線の列車が発車する。沢間へ帰る小学生たちは発車待ちの間、廃車体を使って遊んでいた。その列車を降りた子が踏切で親の迎えをまつ。いつもなら来ているはずの車がなくヒマを持て余していた。


 沢間から田野口へ移動、16:11発の列車が陽の当たる最後の列車となる。真新しく木で作り変えられた駅名表が目立つ存在になったホームを静かに発車してゆく。


                                   

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