井川線DD20・エンジン換装回送


 平成18年2月21日、心配された雨も明け方には上がり徐々に陽が差してきた新金谷構外側線に数人の大鉄職員と1台のクレーンが到着。今回で5両目となる井川線の主力機関車DD20のエンジン換装に伴う輸送がこの日、行なわれるのである。新金谷構外側線は、現在急ピッチで行なわれている軌道改良の基地として様々な機器や交換用品が置かれていた。その中でも目についたのは、既存の37kgレールと交換される50Nレールとの繋ぎ役を果たす、異種レール。レールの厚みの違いがよく判る。


 8時半過ぎ、1台のトレーラーに載せられたDD20の5号機が到着する。輸送するトレーラーも大井川鐵道の車両輸送ではお馴染みの竃リ佐森。メーカーである日本車輌製造で行なわれたエンジン換装は、小松がカミンズOEMを止めているため、純正のカミンズエンジンを搭載する。鉄道車両へのカミンズエンジン採用はJR東海がよく知られているが、このDD20が日本では一番最初に採用したのだ。


 クレーンの脇へ寄り添うように車がつけられる。毎度のことながら手際の良い作業が行なわれる。20トンクラスの小さな機関車ではあるが、機能的にまとめられ輸送する事を想定したかのように「吊りしろ」が備えられている。


到着から30分もしないうちに、ワイヤーの弛みを確認しながら徐々に吊り上げていく。安定させて吊り上げるまで、緊張する時間が流れる。


 車体が吊り上がればあとはゆっくりと旋回して線路上へ移動。車輪とレールの位置確認を行いつつ慎重に降ろされる。小型な車体のためか、台車と車体をつないだ状態で運ばれていた。レール上に降ろされると、台車と車体の間に挟んでいた資材を取り外し、走行可能な状態に整えていく。


 エンジンを起動させ状態確認後、新金谷駅構内へ自力回送される。従えられたcワフ0型は本線上で牽引されるのに必要な控車となる。大代川側線を行くDD20など滅多に見られるものではない。


 新金谷駅構内でcワフ0の連結位置を入換えて、本線のE101を連結。整備が済んだところで下り線へ転線され発車までの時間を潰す。本線の車輌と井川線の車輌の大きさの違いがよく判る。


 13:10少し前に福用駅に到着する。ここまで何事もなく輸送してきた安堵の表情が職員の顔に見られる。本線のホームと井川線車輌の隙間の大きさからも車体の小ささがうかがい知れる。


 下り列車に先を譲るために一度上り線に転線する回送列車。列車を待つ乗客がその様子を物珍しげに見つめる。cワフ0型には2つの連結器が付けられている。この状態は本線車輌の連結器を使用したところで、横に振られているのが井川線用の連結器。井川線車輌を本線へ直通させる為の控車の役割を果たす。


 13:18 下り列車が発車する。上り線に転線した回送列車も前照灯を点灯したままであったため、後続列車が追い抜きを掛けるようなカットを撮る事が出来た。この後、再び下り線へ転線し、閉塞が開くと共に発車する。


 13:30過ぎ、家山までの閉塞が開いたところで福用を発車する回送列車。梅が咲く福用のお立ち台付近を吊り掛けサウンドを響かせて通過していく。運ばれるDD20に乗込む職員がこちらを見つけて笑っている。


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