祝 復旧! 7ヶ月ぶりに響く鉄路の音!


 地蔵トンネルを抜け神尾駅に進入する。右前方の山肌が人工的なものとなり大きく雰囲気を変えそうな気配がする。そして復旧させた部分では保線作業が行われていた。列車の通過状態を見ながら微調整が行われている様だ。


いったいどの位のコンクリートが使われたのだろうか。このコンクリート壁が自然と同化する日が来るのはいつの事だろうか...


11:48 下り列車が入線してくる。退避する作業員の視線はほとんどがレールを注視している。

復旧区間の新設架線柱も木柱なのが好ましい。


 12:10過ぎ、上空を取材ヘリが3機も飛び交いドラフト音も聞こえない。構内踏切の警報音が聞こえ列車の接近を知る。白煙を吹き上げ復活初蒸機列車が神尾に進入する。C108牽引の4両編成。制限が掛かっている為にゆっくりと進入してくる。


復旧を祝うHMが掲げられた101レ、鐵道にとっても、沿線の町・住民にとっても待ちわびた日であることは確かだ!


 神尾12:34発の金谷行きに乗る。法面補修された部分を列車内から見上げるが防護壁に遮られほとんどその姿を見る事が出来ない。補修区間を過ぎ従来のままの岩山が迫る。よくよく考えれば良くぞこんなところに線路を敷いたものだ。


 学校の仲良し4人組は神尾で写メを撮ってはしゃいでいた。

冬の代行バスの待ち時間が一番嫌だった、でも大鐵職員の応対は凄く良かったと言う。

面倒な乗換えがなくなり通学も楽になる。そして彼女達の明るい賑やかな声が再び車内を彩ることだろう。


 12:41、五和で下り列車と離合する。その列車に友達が乗っていた様だ、身を乗り出して手を振り見送る。静かな車内に彼女たちの笑い声が大きく響く。近鉄と南海の離合も半年以上で久々の事。

 列車は定刻に新金谷に着く。16000系と「いぶき501」、数ヶ月新金谷で見られなかった車両が戻ってきた。


 新金谷の待合室には復旧を祝う花が幾つか届けられていた。企業のものが多いが中には個人名のものもあった。明日、その数は増えているだろうか。

 そして仕事の都合で13:48発の列車で帰る。帰りは21003Fで金谷まで行く、この車も金谷へ来るのは7ヶ月ぶり。しかし何事もなく極普通に停車している。異常事態の7ヶ月から極当たり前の大鐵の姿にいま、戻ったのだ。


平成16年3月19日、大井川鐵道本線復旧。牧の原に・川根路に・奥大井に汽笛の音・鉄路の音が再び一つとなって戻った。


平成15年8月末、崩落規模の膨大さに会社の存続危機さえ覚えた職員がいたと言う。


それは自社で賄えきれる規模を遥かに超えた事故だったからだ。


鉄道サービスセンターにかかるSL不通に対する苦情・批難の電話の数々。どうにもやるせない日々が続いた。


しかし、そんな不安を拭うかの如く先に先にと大鐵は後ろを振り返らず前進していた。


2000万円強の費用を要し果たして採算が取れるのか物議を醸したSLと客車の陸送


本来なら不可能であるはずの建設中の第二東名高速下を道路公団が使わせてくれた


国・県の災害復旧支援、そして沿線の町の鉄道施設復旧支援を受けられた


偶然と強運と執念そして職員各人の底力が表に出たと言えるだろう。


鉄路は一つに繋がった。しかし会社の再生はこれからだ。


そう、これからが正念場だろう。この7ヶ月の穴を埋めるのは容易い事ではない。


しかし先にも記したとおり、この会社・この会社に勤める人・関わる人の底力は並大抵の力ではない。



必ずや以前の姿に戻る、いやそれ以上に大きくなっていけるだろう。




大井川鐵道のこれからの躍進を心から期待したい。




                                        

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